件の記事の「東電のピーク時供給量は恣意的に操作されているのか?」の
疑問について調べてみた。
記事内で問題としているのは、ヤフーなどでも掲載されている電気予報の電力使用率を
算出するために計算式「当日実績/本日のピーク時供給力」のうち、分母である
「本日のピーク時供給力」を東電が意図的に低く発表していないか、ということだ。
●「供給力」と「ピーク時供給力」
東電の6月6日の発表では、6月中の見通しを発表しており、
6月第4週現在の供給力は「4,960万kW」としている。
にも関わらず、「本日(6/25)のピーク時供給力」は、
東電の電力の使用状況グラフによると「4,360万kW」となっている。
(5月13日の発表では、「7月末に供給力を5,520万kW」確保の見通しが立ったとしている)
●「供給力」と「ピーク時供給力」の590万kWもの差とは何か
では、6月6日の発表では、6月第4週の供給力を4,960万kWとしているにも関わらず、
6/25のピーク時供給力を4,370万kWとしており、590万kWもの差があるのは何故だろうか。
「(本日の)ピーク時供給力」の定義は、先程の東電の電力の使用状況グラフの
ページの最下部に説明が記載されている。
つまり、590万kWもの差とは、大部分が「追加分の揚水発電」と読み取ることができる。
なお、6月時点の情報は見つからなかったが、4月発表時点での揚水発電は400万kWであり、
これは発表時の「供給力」の中には含まれている。
そして、これが東電の説明では、「ピーク時供給力」には含まれていないことになる。
(400万kWの根拠は週刊ダイヤモンドの記事による)
●東電が「揚水発電」を「ピーク時供給力」に入れない理由
では、東電が「揚水発電」を「ピーク時供給力」に入れない理由は何か。
週刊ダイヤモンドの取材によると、
(「東電がようやく認めた“隠し玉” 揚水発電で夏の電力不足解消へ」)
[1]揚水発電を行う夜間電力の確保の問題
揚水発電は、発電までの電力ロスが30%なので、日中の発電量に対し約1.43倍の
夜間発電量が必要となる。つまり、安定的な夜間の固定供給力が見込める分しか、
確実な「供給力」としては組み込めないということだろう。
(仮に590万kWを揚水発電で生み出そうとすると、843万kWの余分な安定的な夜間電力が必要)
[2]家庭や企業に節電を促したい
夏場の「最大電力需要」に対し、確実に「供給力」が上回ることができるか不透明なことと、
現状で見込んでいる「供給力」には、老朽化した発電所が含まれ故障リスクもあると考えて、
節電により、できるだけ夏場の「最大電力需要」を下げて欲しいということだろう。
(上記「だろう」の部分は、ダイヤモンドの記事を踏まえての私の解釈も入っている)
●東電の「ピーク時供給力」算出の考え方とは?
上記を踏まえて、よくよく東電の立場を考えてみると、「ピーク時供給力」というのは、
絶対確実な数値を出さなければならないという考えから、算出しているものと推測される。
つまり、夜間電力が少なく揚水発電で上手く電力確保できなかったり、
老朽化した発電所が故障し供給力が落ちてしまったとしても、
対応可能なバッファ込みのギリギリのラインの数値として、だ。
何しろインフラであるのだし、「ピーク時供給力」を見誤って意図しない停電が
発生することは許されない。だからこそ、確実とは言い切れない
「追加分の揚水発電」は、「ピーク時供給力」に入れられない訳だ。
それに、東電の立場からすれば、当日の「最大電力需要」+バッファ分
(安定供給に必要な予備電力8−10%分くらいか?)の「ピーク時供給力」が
確保できていれば、それ以上高めの数値を出すメリットはない。
むしろ、見かけの数値で安心されて節電を疎かにされては、肝心の夏場がより心配になる。
●まとめ及び東電の意図の推測
発表時の「供給力」は実現可能な最大数値、「ピーク時供給力」は絶対確実な数値、
という意図で東電は公表しているのではないか。
そして、6/25時点での「供給力」と「ピーク時供給力」の590万kWもの差は、
大部分が確実に確保できるとは言い切れない「揚水発電」であると考えられる。
「ピーク時供給力」については、東電は低めの数値を発表している可能性はあると思われる。
ただ、元々そんなに供給力に余裕がある訳ではないので、仮に低めにすると
言っても、せいぜい100−200万kWと全体の2−4%程度ではないか。
よって、もし低めに発表しているにしても、何か変な意図があるのではなく、
単に確実性を期すためではないかと、私は推測している。
疑問について調べてみた。
記事内で問題としているのは、ヤフーなどでも掲載されている電気予報の電力使用率を
算出するために計算式「当日実績/本日のピーク時供給力」のうち、分母である
「本日のピーク時供給力」を東電が意図的に低く発表していないか、ということだ。
●「供給力」と「ピーク時供給力」
東電の6月6日の発表では、6月中の見通しを発表しており、
6月第4週現在の供給力は「4,960万kW」としている。
にも関わらず、「本日(6/25)のピーク時供給力」は、
東電の電力の使用状況グラフによると「4,360万kW」となっている。
(5月13日の発表では、「7月末に供給力を5,520万kW」確保の見通しが立ったとしている)
●「供給力」と「ピーク時供給力」の590万kWもの差とは何か
では、6月6日の発表では、6月第4週の供給力を4,960万kWとしているにも関わらず、
6/25のピーク時供給力を4,370万kWとしており、590万kWもの差があるのは何故だろうか。
「(本日の)ピーク時供給力」の定義は、先程の東電の電力の使用状況グラフの
ページの最下部に説明が記載されている。
※ピーク時供給力とは、電力需要のピーク(最大電力)にあわせた供給力のことであり、
火力、原子力等の固定的な供給力に加え、需給が逼迫した場合、素早く対応可能な
揚水式発電(水力)が一定量含まれております。
なお、需要が供給力を上回る緊急時には、更に揚水式発電を一時的な供給力として
追加できる場合がありますが、発電可能な時間に限りがあるため、追加分については
ピーク時供給力には含んでいません。
つまり、590万kWもの差とは、大部分が「追加分の揚水発電」と読み取ることができる。
なお、6月時点の情報は見つからなかったが、4月発表時点での揚水発電は400万kWであり、
これは発表時の「供給力」の中には含まれている。
そして、これが東電の説明では、「ピーク時供給力」には含まれていないことになる。
(400万kWの根拠は週刊ダイヤモンドの記事による)
●東電が「揚水発電」を「ピーク時供給力」に入れない理由
では、東電が「揚水発電」を「ピーク時供給力」に入れない理由は何か。
週刊ダイヤモンドの取材によると、
(「東電がようやく認めた“隠し玉” 揚水発電で夏の電力不足解消へ」)
[1]揚水発電を行う夜間電力の確保の問題
揚水発電は、発電までの電力ロスが30%なので、日中の発電量に対し約1.43倍の
夜間発電量が必要となる。つまり、安定的な夜間の固定供給力が見込める分しか、
確実な「供給力」としては組み込めないということだろう。
(仮に590万kWを揚水発電で生み出そうとすると、843万kWの余分な安定的な夜間電力が必要)
[2]家庭や企業に節電を促したい
夏場の「最大電力需要」に対し、確実に「供給力」が上回ることができるか不透明なことと、
現状で見込んでいる「供給力」には、老朽化した発電所が含まれ故障リスクもあると考えて、
節電により、できるだけ夏場の「最大電力需要」を下げて欲しいということだろう。
(上記「だろう」の部分は、ダイヤモンドの記事を踏まえての私の解釈も入っている)
●東電の「ピーク時供給力」算出の考え方とは?
上記を踏まえて、よくよく東電の立場を考えてみると、「ピーク時供給力」というのは、
絶対確実な数値を出さなければならないという考えから、算出しているものと推測される。
つまり、夜間電力が少なく揚水発電で上手く電力確保できなかったり、
老朽化した発電所が故障し供給力が落ちてしまったとしても、
対応可能なバッファ込みのギリギリのラインの数値として、だ。
何しろインフラであるのだし、「ピーク時供給力」を見誤って意図しない停電が
発生することは許されない。だからこそ、確実とは言い切れない
「追加分の揚水発電」は、「ピーク時供給力」に入れられない訳だ。
それに、東電の立場からすれば、当日の「最大電力需要」+バッファ分
(安定供給に必要な予備電力8−10%分くらいか?)の「ピーク時供給力」が
確保できていれば、それ以上高めの数値を出すメリットはない。
むしろ、見かけの数値で安心されて節電を疎かにされては、肝心の夏場がより心配になる。
●まとめ及び東電の意図の推測
発表時の「供給力」は実現可能な最大数値、「ピーク時供給力」は絶対確実な数値、
という意図で東電は公表しているのではないか。
そして、6/25時点での「供給力」と「ピーク時供給力」の590万kWもの差は、
大部分が確実に確保できるとは言い切れない「揚水発電」であると考えられる。
「ピーク時供給力」については、東電は低めの数値を発表している可能性はあると思われる。
ただ、元々そんなに供給力に余裕がある訳ではないので、仮に低めにすると
言っても、せいぜい100−200万kWと全体の2−4%程度ではないか。
よって、もし低めに発表しているにしても、何か変な意図があるのではなく、
単に確実性を期すためではないかと、私は推測している。