米国で「投資銀行」と呼ばれ、高収益を誇った米大手証券上位5社が、
サブプライム問題の直撃を受けて、あっという間に消滅しようとしている。

1位のゴールマン・サックスは、銀行待ち株会社へ移行。
2位のモルガン・スタンレーも、銀行待ち株会社へ移行し、
  さらに三菱UFJフィナンシャルグループから9,000億円の出資を受け、
  連結決算の対象となった。
3位のメリル・リンチは、破綻の危機に瀕し、
  米国金融大手のバンク・オブ・アメリカから救済買収されることが確定。
4位のリーマン・ブラザーズは、9月15日に破綻し、欧州部門・中東部門・
  アジア部門を野村ホールディングスが買収することが決定した。
  なお、リーマン破綻のとばっちりで、米国保険最大手のAIGはサブプライム関連の
  損失に掛けられていた保険金約6兆円を支払う必要に迫られたため、資金繰りに
  行き詰まり一気に破綻寸前まで追い込まれ、米連邦準備理事会(FRB)に
  救済されることになったのは記憶に新しい。
5位のベアー・スターンズも、2008年3月に米銀大手JPモルガン・チェースから
  救済合併された。
  1年前には1株170ドルを誇っていたベアー・スターズは、買収時では
  僅か1株2ドルと、たったの1年間で85分の1の株価で身売りすることになっている。


米国投資銀行と言えば、複雑な証券化商品を作り顧客に売りさばくことで手数料を
得るビジネスで、少ない資本金で高い収益を叩き出してきた
米国の誇る最強の金融キャッシュマシーンであった。

しかしながら、サブプライム問題で住宅ローンなどの証券化商品の価値が暴落し、
巨額の損失を生んでしまったことで、そのキャッシュマシーンは脆くも崩れた。
金融機関の貸し渋りで、資金調達先の短期金融市場の金利が跳ね上がった結果、
元々少ない資本金しか持たず一般の銀行のように預金を持たない投資銀行は、
急速に資金繰りが悪化していき、その100年の歴史に幕を下ろすことになった。


米国投資銀行による金融帝国の崩壊を受け、日本国内への影響を考えると実に
恐ろしい。上記AIGの例のように、連鎖的に資金繰りに行き詰まって破綻することを
恐れるあまり、国内の金融機関(特に銀行)がより一層貸し渋り出すことが予想され、
先般の不動産業界のように銀行からのお金の流れによる依存している業界は、
これから短期間で急速な右肩下がりへと沈んでいくと思われるからだ。

このあまりにも大きな外部環境の変化に、今後日本の市場がどうなっていくか
まったく見えない。そして、Netvibesに、帝国データバンクの大型倒産速報の
RSSフィードが送られてくる度に戦々恐々とする毎日である。