テレビは、日本中の消費者のライフスタイルに密接に絡み付いている
最大の情報提供インフラである。インターネットでの双方向性が一般化した今、
テレビが一方通行の箱の役割でしかないのは、あまりにも勿体無い。

だからこそ、テレビという大規模インフラを活用した新しい収益モデルについて、
色々な企業が模索している。テレビ局・テレビメーカー・コンテンツプロバイダ・
ISP・独自ポータル(アクトビラなど)・大手ネット企業などなど。

最近では、Google+ソニーによるGoogle TVや、低価格で発売された
Apple TVなどの発表が記憶に新しい。



そこで、近い将来に実現されるであろう
テレビを軸とした「サービス」モデルを想像してみた。


●「サービス」概要
消費者は、テレビを購入する段階で、「サービス」の会員登録を行う。これが肝だ。
もちろん、カードの番号も登録する。「サービス」に登録すれば、テレビを経由して、
オンデマンドで映画を閲覧できたり、CMで流れた商品をそのまま購入したりできる。


●「サービス」の収益モデル
「サービス」業者が、映画配信や商品販売を行っているわけではない。
「サービス」業者が提供しているのは、テレビという端末とテレビに繋がった
配信経路と決済サービスと広告配信サービスだ。

この「サービス」の提供会社は、テレビ端末の販売に加えて、
決済代行手数料・広告収入(Google Adsense方式)・有料課金サービス・
自社コンテンツ販売が主な収益源となる。
リーチできる消費者は、ネットサービスとは桁が違う。


●「サービス」の利用スタイル
消費者は、「サービス」を利用すれば、まるでリモコンでチャンネルを変えるような
感覚で、テレビ経由で映画を安価に購入することができ、商品を購入することができ、
カスタマイズされた天気予報などの情報を自由に見ることができる。

消費者は、「サービス」を利用すれば、見逃したドラマも観ることができる。
わざわざ、録画する必要はない。大きなレコーダーなんかいらないのだ。
何故なら、リモコン1つでテレビ上にドラマの過去の回を呼び出し、
すぐに観ることができるのだから。

消費者は、「サービス」を利用すれば、CMで気になった商品をその場で購入する
ことができる。わざわざ、ECサイトで購入必要はない。鈍重なPCなんかいらないのだ。
何故なら、リモコン1つでテレビ上に気になった商品をその場ですぐに購入ことが
できるのだから。


●「サービス」のインターフェース
この「サービス」では、リモコンがユーザーインターフェースとして、
重要な位置付けとなるだろう。今のリモコンのように、ボタンが何10個も
付いていて、その半分以上の使い方が分からないような複雑なものではなく。

リモコンのボタンでは複雑な操作が難しいので、商品選択などの場合は、
タッチパネル方式が使いやすいだろうか。
タッチパネル式なら、視聴者参加型の番組で単純な投票方式だけではない、
リアルタイムでの対話型の番組なども作ったりしやすいかもしれない。



●「サービス」の2つの鍵
などと想像してみたが、この「サービス」の鍵は、
消費者のユーザー登録」と「入力インターフェース(リモコン)」だと考える。

登録をテレビ端末購入後にやらせる形は、テレビでやろうがケータイでやろうが、
既存のサービスを超えるほどにはならないだろう。特に、カード情報を取得したい
場合は。だからこそ、購入時点で登録させることが重要だ。
そして、購入時点で申込用紙に記入させることができるのは家電量販店。
では、量販店に登録を徹底させられるのは?

また、テレビ端末の使い方を広げるには、今のリモコンの使い勝手が
制約になってしまう。ボタンだけでは複雑な操作が難しいからだ。

キーボード? ノー。ノンPCユーザーには受け入れられないだろう。
テレビ画面でタッチパネル? ノー。テレビは離れて利用するものだ。
音声? ノー。現実的にはまだ早いし、複雑な操作は難しい。
タッチパネル? イエス。かも? 私はこれが1つの解ではないかと考える。

何故なら、タッチパネルを利用したことがない人はほとんどいないからだ。
スマートフォンではない。駅の券売機、銀行のATMなどなどタッチパネルに
触れる機会は事欠かないし、受け入れられやすいのでは? と思うからだ。
(と考えてみたものの自分でもまだイマイチ ピンとこなかったりする)


よって、「サービス」を構築し、この2つの鍵の部分を克服した企業こそが、
最終的にテレビの「消費者」市場を制することになると思うのだが、どうだろうか。