営業は、最も「物事を単純化して話をしなければならない」職種の一つだと思う。
クライアントが不得意な分野で、専門的過ぎる話をすると説明が伝わらないのに、複雑なまま話をしてしまうのはダメな営業の証。勿論、筋を外した単純化は誤解を招く点でもっとダメなのだが。

ただ、「物事を単純化して話すこと」は、「物事を単純に理解すること」を意味しない。
物事を単純化ばかりしていて、物事の複雑さを理解しようとしない営業というのは、特にダメなパターンだ。

例えば、10という物事を10と単純に覚えているだけでは次の数字が分からない。
だが、ちゃんと2,4,6,8という経緯があっての10への理解であれば、10の話だけではなく次に12,14〜が来ることも理解できる訳である。
(上記の例であれば、「単純に言えば」2の倍数順が本筋)

単純化した部分だけしか覚えていないと、物事の本筋を理解していないので、大抵はズレてくるし、クライアントにも大切なことを伝えられない。
複雑さをある程度理解していないと、単純化して話すことなんかできない。
物事の複雑さを理解するとは、物事の背景や土台や方向を理解することである。
「結果」だけではなく、「過程」を知ることである。



物事を単純化してしか理解しようとしない営業というのは、専門技術を自分の仕事の範囲だと思っていなくて理解する気がなく、しかも専門家に敬意を持っていないことが多いように思える。
いいからやれよ、という態度で専門家に仕事を曖昧な形で丸投げしている姿をよく見る。

だな、営業も、専門家の話を余程の技術的な話でない限りは、「詳しいことを学ぶ」能力がないと話を理解できずに、専門家を通じての問題の解決がほとんどできなくなるのである。