LINEカンファレンス東京2014

LINEカンファレンス2014。今回の発表のコンセプトは、

「LIFEプラットフォーム」
    と
「エンターテインメント・プラットフォーム」

という訳で、発表内容のまとめと言うよりは、私自身の見立てと今後の展開を考えてみる。って、色々考えていたら、モリモリ考えが連想されてしまって、結構長くなってしまった。

(目次)
1.LIFEプラットフォーム
 「LINE TAXI」(タクシー配車サービス)
 「LINE WOW」(フードデリバリーサービス)
 「LINE Pay」(決済サービス)
 「LINE Maps for Indoor」(商業施設ナビゲーションサービス)
 「LINE@ ID」(仕事用LINEアカウント)
2.エンターテインメント・プラットフォーム
 「LINE GAME」のラインナップ拡大
  新会社「LINE MUSIC」を設立
 「LINE公式ブログ」
 「LINE有料公式アカウント」
3.ビジネス・プラットフォーム(私の造語)
 『LINEビジネスコネクト」


1.LIFEプラットフォーム
狙いは、「ネットのみ」から「リアル=日常生活」へ。
コンセプトは、オンデマンドEC、即ち「リアルタイム×EC」。
「リアルタイム×EC」のサービスとしての第一弾は下記の2つ。

「LINE TAXI」(タクシー配車サービス)
 →パートナー:日本交通(タクシー保有数22,000車)
  最近日本でもネット上で認知が進んできたスタートアップ「Uber」のガチ競合。
  今冬予定の東京限定版先行リリース時には、3,300車が配車対応とのこと。
  世界中のタクシー会社と提携することで、世界進出も視野に。

「LINE WOW」(フードデリバリーサービス)
 →パートナー:Woowa Brothers Corp.(韓国最大のフードデリバリーアプリ)
  今秋東京渋谷区限定でソフトローンチ。
  今後は、対象のメニュー・店舗・エリア・配達時間などを順次拡大していくが、
  配達網を構築した後は、デリバリー以外にもサービスを拡大していく予定。
  サービス名が「LINE デリバリー」ではないのは、今後の拡大を見据えての様子。


相変わらず目の付け所が上手いが、上記2つの「リアルタイム×EC」サービスを含むサービス群の横串として投入されるサービスが、下記「決済サービス」。

「LINE Pay」(決済サービス)
 →クレジットカード連携での決済+事前にお金をチャージするプリペイド方式。
  機能は下記の4つ。
  1.決済:LINEのサービス、提携店舗・サービスでの決済ができる。
  2.入金:コンビニ、提携銀行(みずほ・三井)で入金が可能。
  3.送金:銀行口座を知らなくても、相手のLINE Pay口座に送金できる。
  4.割り勘:サービスの購入費用を人数分で分ける機能。

機能としては、「PayPal」や「au WALLET」などに一部近いと思うが、使えるサービス群を自ら作っていくところが、決済系企業とはひと味違うところと言える。
この決済サービス「LINE Pay」を横串にして、「リアルタイム×EC」サービスを拡大していくのが、LINE社の狙いだろう。

最初から「割り勘」機能を用意していることから、「LINE MALL」での決済も当然踏まえており、「LINE MALL」上での売上金とLINE Pay口座の統合、または容易に充当できる機能が、近いうちに対応されると思われる。

気になる点としては、スタンプやゲームやマンガにて使われている「LINEコイン」との関係だが、「LINE Pay」がポイントサービスも想定しているとの話から、「LINE Payポイントの交換先としてのLINEコイン」という形にするのではないか。勿論、「LINE Pay」での決済で「LINEコイン」を購入できるだろう。
これにより、LINEのコンテンツ系サービスとの連携を、より密にすることができる訳だ。

「LINE Pay 」 ー「リアルタイム×EC」
      ↓ ↑
「LINEコイン」ー「コンテンツ」
 

※ コンテンツ=スタンプ・ゲーム・マンガなど

さて、「LINE Pay 」が決済サービスとして上手くいくかは、「リアルタイム×EC」と「コンテンツ」のサービス拡大、および提携店舗・サービスの拡大に掛かっている訳だが、私は浸透する可能性が高いと睨んでいる。少なくとも日本では。
決済サービスを投入・投入予定の企業として、誰しも思いつくGoogle・Apple・Amazonといった超ビッグプレイヤーや、国内の携帯キャリアがいる中で、何故そう思うのか。

それは、LINE社が「EC」と「コンテンツ」という「決済の使い道」に最も先進的に取り組んでいるからだ。
これは、楽天市場と楽天スーパーポイントの関係に近く、提携先に依存せず、「決済の使い道」を有力な自社サービス内でコントロールできるのが強みに繋がるから、と考えている。
自社サービス=「リアルタイム×EC」「コンテンツ」の拡大が、「LINE Pay」の拡大に直結するのが、大きな追い風となる。
同じように取り組めている企業は、テンセントなど中国ネット大手を除くと、おそらく無いだろう。


その他、新たに提供されるサービスは、下記の2つとなる。相変わらず目の付け所が上手い。

「LINE Maps for Indoor」
 →パートナー:百貨店やショッピングモールなどの各社
  商業施設内のナビゲーションサービス。
  百貨店やショッピングモール内での最適な道順を提示してくれる。
  当然、店舗情報を確認することも可能。

「LINE@ ID」
 →プライベートのLINE IDに対するパブリックのID。
  プライベートとは完全に切り離され、仕事用の個人向けIDと言える。


この2つのサービスは、「リアル店舗=LINE@」との連携を想定されたものだろう。

「LINE Maps for Indoor」では店舗情報を確認することができる。
そして、自社の地図サービスなので、各店舗の「LINE@アカウント」を掲載したり、店舗情報を確認したユーザーに対し、クーポン情報を出すことも可能となるのではないか。
お店の近くに来た時に、クーポンを出したい/見たい(但し出されまくるのは嫌)、という店舗とユーザーの両方のニーズを見事に解決したサービスになる可能性が高い。
何しろ、ユーザー自身がアプリを立ち上げ、自ら気になった店舗情報を確認してくれるのだから。現地でのリアルタイムな検索行動を大きく喰う可能性を秘めている。

また、「LINE@アカウント」が店舗単位なのに対し、「LINE@ ID」は社員単位(複数人での1アカウント利用も可能)。
日本人のビジネスユーザーだと、マネージャークラス以上の人以外は、割と公私が混ざるFacebookに悩む人が多いので、そこを突いていると言える。
企業や店舗、社員とユーザーをより近付ける取り組みであると共に、ビジネス的な使い方、即ちメールの代替としての使い方として浸透する可能性を秘めている。
但し、こちらは、利用ユーザーが増えてなんぼの話なので、浸透するのにも時間は掛かるし、浸透させる労力も大変なものとなるだろう。
よって、おそらく「LINE@ ID」を浸透させるために、今後何かしらのもう一手は打つと予測している。



2.エンターテインメント・プラットフォーム
狙いは、「コミュニケーションのネタとなるコンテンツの拡大」へ。

「LINE GAME」では、ラインナップの拡大に専念し、提携やゲーム開発専業新会社の設立で、ゲームコンテンツ力の強化に努める方向性か。

また、当初企画していたLINE Musicは、ユーザーの音楽体験を変えるまでには至らないとの判断で打ち切り。
新たな取り組みとして、新会社「LINE MUSIC」を設立し、定額音楽サービスを年内リリース予定。
詳細は後日。パートナーは、avexとSonyMusic! Sonyを抑えてきた。
相変わらずアライアンスが上手いと言うか強い。

「LINE公式ブログ」「LINE有料公式アカウント」は、かつてCAやGREEも実施したタレント・アーティストを取り込んでの、情報コンテンツ強化の方向性と思われる。

エンターテインメント・プラットフォームの全体の方向性としては、収益頭の「ゲーム」と同等レベルのパワーで「マンガ」「ミュージック」にも攻めていくと思われ、本気度合いを感じるところ。
他のコンテンツにも拡大していくと言っていたので、おそらく「ムービー(映画やテレビコンテンツ)」や様々な「情報コンテンツ」なども企画中で、その他「ニュース」のてこ入れも行われることだろう。

エンターテインメント・プラットフォームは、あくまでも「コミュニケーション」が中心である、というコンセプトに全くブレがないのがスゴい。



3.ビジネス・プラットフォーム
発表では「ビジネス・プラットフォーム」という言葉は使われていない。
だが、ユーザーの同意の下、企業の持つ既存のデータベースや、自社システムとユーザーのLINEアカウントを連携させるパートナープログラム
「LINEビジネスコネクト」が向かう方向性は、まさにこれだと考えている。

現状でこそ、株価などの情報確認や車の停車時間表示など、アドホックでのユーザーコミュニケーションツールの域を出ないが、今後は企業のCRMを支援するプログラムにしていくとの話。
つまり、アドホックなツール導入から、企業のマーケティングプロセスを理解した上で、企業と一緒にマーケティングプロセス改善の提案を行っていくのだと予測している。
何故なら、「広告ビジネス」だけだと、どうしても企業側とユーザー側の利害が相反するものになりやすいが、「仕組みの提供」とすることで、クライアント企業と共通の目的に向かい継続的に取り組みながら収益を得ることができるから。

とは言え、現状では、企業のマーケティングプロセスを理解し提案できるノウハウはないだろうから、今後初期導入してくれた企業の担当者と一緒に、LINE社内の人材を育てながら、じっくりとノウハウを積み上げていくのだろう。
おそらく、現状のメールを駆使したダイレクトマーケティングの提案会社のような方向性を目指しているのではないか。まだ漠然とだとは思うが。

これが上手くいくかは、LINE社が自社内でノウハウを蓄積する方向を目指すかどうかに尽きる。
企業向けの提案でもプラットフォーム志向で売り切りビジネスや月額課金ツール売りビジネスを目指すのなら、上手くいかない可能性が高いと踏んでいる。

(企業側にとってのリスクについて)
まあメールと違って、「LINEビジネスコネクト」は一企業のプラットフォームであるので、クライアント企業からすると、あんまり自社のマーケティングプロセスに深入りさせるのは危険だと思うが、Facebookと比較するとLINE社は広告など企業向けの提案サービスをユーザーの反応を見ながら抑制的にコントロールしているので、Facebookほどのプラットフォームとしてのリスクは無いのではないか。

また、ユーザーを大規模に抱える企業のビジネスは、広告収益に頼ると先細りしやすい(そして先細りするほど営業が暴走しやすい=企業とユーザーの両方にマイナスとなる)が、LINE社の場合はコンテンツ収益やゲーム課金など、別に大きな収益の柱があり体力があるので、企業にとってユーザーにとってもメリットとなる三者がハッピーな取り組みをじっくり行うことができるのが強みと言える。



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