蠅の王 -Lord of the Flies-

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「失敗の本質」は、インパール作戦やミッドウェー作戦など大戦中の最たる失敗事例6つをケーススタディとして、なぜ失敗したのか、について、組織論の観点から解きほぐした名著である。
本書は、日本軍の失敗が、組織構造上の理由が大きかったことを解き明かし、その組織上の問題点を現代の組織にとっての教訓として、活用することを目的としている。




「失敗の本質」が日本軍の失敗事例を分析することで導き出した問題点は、大きく3つ。
「目的意識の欠如」「ファクト(数字)の欠如」「組織的な構造問題」

これら3つの日本軍の問題点は、現在の会社組織でもそのまま当てはまることばかりで、失敗する会社組織の特徴そのものと言える。
本書に書かれているインパール作戦やミッドウェー作戦など大戦中の6つ失敗事例の経緯を読むと、3つ問題点からの惨憺たる有様に頭痛がしてくる思いになるが、よくよく考えてみると、失敗する会社組織の場合と大して違いがなかったりする。

当時の日本軍のような巨大な組織となると、さすがに改善は容易ではないが、そこまで大きくない中小企業や一部署の組織規模であれば、3つの問題点のうち、「目的意識」「ファクト(数字)」を普段から意識し、組織内で徹底するだけでも、組織運営において、大きな改善が見られることだろう。


●目的意識の欠如
・曖昧な戦略目的。組織の階層によって目的がバラバラ。
(国家としての政治目的=グランドデザインの欠如、がそもそもの要因)
・コミュニケーション不足での末端までの目的・価値観共有の不徹底。
・目的意識の無さと合理的な意思決定システムの欠如により、全体戦略の一貫性の無さ
・総合的にバランスの取れた技術体系を確立しようとする思想の無さ


●数字とファクトに基づいた思考・意思決定プロセスの欠如
・グランドデザインの欠如により、長期的な視野の無さによる短期決戦の戦略志向。
・場当たり的で主観的な戦略決定。
・非合理で情緒的な組織の思考のクセ。
・数字とファクトのない同意と許可のプロセス。
・バックアッププランの欠如。
・学習の軽視。


●組織的な構造問題
・狭くて進化のない戦略オプション
・属人的な運用特化型で、仕組みやシステムの整備や開発の軽視
(目的の曖昧さや合理性に欠ける意思決定を現場の運用でカバーしようとする構造に)
・情緒的な階層的な意思決定システム(意思決定基準が属人的で曖昧)により、大幅なスピードの欠如
・学習の軽視=プロセス改善志向の欠如
(PDCAのCがない。場合によっては、Pもなく、Dあるのみ)
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「ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか」を読んだので、読書メモを書いた。
元DeNAの中山淳雄氏が2012年半ばから後半にかけて書かれた
「ゲームの本質」を体系化した本で、何年経っても色褪せない素晴らしい本。




●ソーシャルゲームの成功方程式
=「ソーシャル(人を集める力)→無料&招待インセンティブ」
×「ゲーム(人を熱狂させる力)→コミュニティ」
×「アイテムマネタイズ(熱狂をお金に変える力)→課金プレミアムシート」。


●ソーシャルゲームのユーザータイプ分類
ライトユーザー(月課金1000円以下)
ゲーム経験とソシャゲ経験が共に浅く、ゲーム機未保有。10-60代までと属性が幅広く、偏りは少ない。

ミドルユーザー(月課金5000円未満)
子ども時代にゲーム機でのゲーム経験が豊富で、ソシャゲ経験1年以上が多い。男女比率の偏りは少なく、大学生や若手ビジネスユーザーが多め。

ヘビーユーザー(月課金5000円以上)
30-40代中心。熱中しやすいギャンブル型と、コミュニティ作りに慣れているネットヘビー型と、極少数のランキング上位に君臨する超ヘビーなハイステータス型。


●ソーシャルゲーム市場の規模感(2012年前半時点)
月間アクティブ約2000万人(年間4000億円)。
内、課金ユーザーは20%の400万人(月平均6000円)。
課金ユーザーの内、ヘビーは40万人(月4万円で年50万円)、残りが360万人(月4000円で年5万円)。

ソーシャルゲームのヘビーユーザー(月平均4万円で年間50万円)というのは、パチンコユーザー(月3-5万円で年間30-60万円)に匹敵する。が、ユーザー層がそこまで一致している訳でもない。


●「遊び」の四分類
A.感覚的倒錯(操作性)→遊園地・操作系ゲーム。
B.オンリーワン(装飾性)→演劇・アバターや街作り系。
C.ナンバーワン(競争・協力性)→スポーツ・バトル系。
D.運命的倒錯(偶然性)→賭博系全般。

コンソールゲームは、A.感覚的倒錯(操作性)とC.ナンバーワン(競争・協力性)を刺激する遊び。
ソーシャルゲームは、B.オンリーワン(資産収集・自己顕示)とC.ナンバーワン(ソーシャル性)+D.運命的倒錯(偶然性)を刺激する遊び。

ソーシャルゲームにおける「カードゲーム」のブレークスルーとは、集客性の面でのB.オンリーワン(資産収集・自己顕示)の構造強化と、やり込み幅が大きいC.ナンバーワン(ソーシャル性)の構造強化の両方を同時に追求できたこと。

ソーシャルゲームにおいては、B.オンリーワン(装飾性)、C.ナンバーワンが、「人を熱狂させる力」となり、D.運命的倒錯(偶然性)が、「熱狂をお金に変える力」となる。


●インフライノベーションの4要素
「通信端末の普及(フィーチャーフォン)」
+「サービスプラットフォーム(公式ポータル・一括決済システム・定額課金制)」
→携帯キャリアが製造から販売まで支配力を持っていた日本ならでは。
+「コンテンツ(ゲーム)」
→2008年時点で、5000億円近いモバイルコンテンツ市場の約20%弱が、既にモバイルゲームだった。
(ちなみに、着うた・着メロで約30%、アバター・アイテム販売は僅か3%だった)
+「携帯課金の習慣・文化」
→2008年時点で、モバイルコンテンツ市場4835億円+モバイルEコマース市場8689億円
=全体で1.3兆円であり、1億人のケータイユーザーが月平均1000円を支払っていた訳で、
既に携帯で課金する習慣が確立されていた。
(2012年時点のソーシャルゲームユーザーは月平均2000円)


●マーケティングイノベーション
1.スキマ時間の創造
2.データ分析に基づくリアルタイムマーケティング
3.イベントマーケティング

アイデアから消費者までの「距離」が近くなった
これらのマーケティングの基準は、従来の「顧客の声」ではなく、「顧客の行動」である。
(ID-POSデータなども当てはまるかな?)
→パラメータをチューニングしながら最適値に到達する生産技術は、他社には真似しにくい非常に強力な差別化点となる。

※ 従来のマーケティングが、「情報を集める」「セグメント化したユーザーを集める」「マッチング」の三セットという「静的」な軸をベースにしているのに対し、リアルタイムマーケティングでは、ユーザーの行動という逐一変化する「動的」な軸をベースにしている。


●ソーシャルイノベーション
→ソーシャルゲームがやったことは、「昔から常に遊びには必要だった『ソーシャル』をデジタルな空間に再現するノウハウ」というイノベーションなのである。

→フリーミアムモデルの本質は、「ユーザーがコンテンツを作る」と「ユーザー自身がコンテンツになる」(娯楽には観客が必要)という二点に帰結する。

→ソーシャルゲームの熱狂を生む原動力である「成長感」「ご褒美」「人間関係」は、リアルな世界でも当てはまる。

→ソーシャル自体を商品とする仕組み。
1.関係性を遊びとする。
2.ユーザーがコンテンツになる。
3.ユーザーが成長する。

大事なことは結果ではなく、その成長プロセスの分解にこそ、眠っている。


●第五次産業を創造しよう
第一次産業=「食料」が価値を持つ
第二次産業=「モノ」が価値を持つ
第三次産業=「人(サービス)」が価値を持つ
第四次産業=「情報」が価値を持つ
第五次産業=「関係性(コミュニティ)」が価値を持つ
→第五次産業では、「コミュニティの中での自分の位置を高めてくれるデジタルコンテンツ」で収益を上げる。
(自分のアイデンティティを象徴する衣服、即ちアパレル産業とは非常に親和性が高い)
→「コミュニティ」による付加価値を商品にすることであり、「人を介さない自己増殖性」が本質である。
→この領域の鍵は、「優れた戦略」ではなく「優れた業務プロセス」であり、「開発技術(何を作るか)」ではなく、「生産技術(どう効率的に作るか)」である。

人間の娯楽は人間である。


●価値を生み出す錬金術
価値を生むには、「有用性」と「希少性」があればよく、ソーシャルゲームの真髄とは、「希少性のコントロール」にある。
価値の希少性が価値相場を創出する。全ての活動は、運営側とユーザー側、もしくはユーザー同士での「価値の交換」である。
ユーザー全体の価値総量は増え続け、徐々に進む価値のインフレは止められない。そして、価値総量が多くなり過ぎて、ユーザー側から価値を価値と認めなくなってきた時に、ソーシャルゲームは終焉を迎える。
なお、収益を求め過ぎて、「希少性のコントロール」をユーザーが感じさせてしまうと、あっという間にユーザーは離れていく。


●最後に
ソーシャルゲームは、あくまでも
「ユーザーに楽しんでもらう」ことが、サービスの中心であることを忘れてはならない。

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