2009年に鳴り物入りで登場し、家電業界の福音となっている「エコポイント」
経済効果が期待され、対象製品購入期間が2010年3月31日から同年12月3月31日まで
延長となったところだ。制度については、本当にエコと言えるのか、経済活性化に
繋がるのか、といった批判がある。が、ここでは「ポイントサービス」としての
観点から、「エコポイント」について考えてみる。


「エコポイント」付与の対象は、今のところエアコン・冷蔵庫・地デジ対応テレビの
3つ
だけだ。この条件で、大手家電メーカーと家電量販店以外に経済活性化効果が
あるとは正直疑問だ。効果が疑問な理由は、ポイントサービスとしての
「エコポイント」の設計の不味さにある。
(2010年から「住宅エコポイント」が始まっているが、設計の不味さは変わらない)

直接的な売上向上に限定した場合のポイントサービスの導入目的は、
「集客(新規購入促進)」
「既存活性化(継続購入促進)」
「優良顧客化(囲い込み)」
の大きく3つがある。「エコポイント」は、特定企業のサービスではないので、
当然「優良顧客化(囲い込み)」目的ではあり得ない。

となると、残りは「集客」「既存活性化」だが、ポイントサービスで継続的に
購入促進を図るには、ポイントの「貯めやすさ」と「使いやすさ」が重要だ。
「エコポイント」は、貯める方法が一年に一回も買わないような
高額家電のみであるため、当然貯めにくい。


つまり、「エコポイント」は、貯めにくく(大抵の場合一回しか貯める機会がない)、
使いにくい(と言うか使えない)、ポイントサービスであるということだ。
誰がそんなサービスを積極的に活用できるのだろうか。

ポイントサービスは、繰り返し貯めさせて繰り返し使わせることで、初めて効果を
発揮する。繰り返し活用することのできないポイントサービスは、設計時点で既に
失敗が約束されているのだ。

「エコポイント」は、高額家電製品のみで始めてしまった点も筋の悪さが光る。
高額家電製品は、ポイントを貯める機会が事実上1回で、次回購入の値引き時に使う
機会がない(何年後?って話だ)。

「エコポイント」は、開始直後こそ瞬間風速的に家電製品の売上向上に寄与するだろう。だが、消費者はバカではない。すぐに、ポイントサービスとしての魅力の無さ(使う機会がない/交換先が用意されていない)ことを深く深く理解し、あっという間に関心を無くすことだろう。


交換先の準備なしに見切り発車で「エコポイント」を開始してしまった環境省の次の行動は、「取りあえず」の交換先の準備。用意しやすいのは、商品券など現金ではないが価値としては現金の劣化版のようなもの。

サービス開始直後の時点では、ポイントの交換先がノープランという体たらくで、
正しく論外と言うしかなかった。2010年5月の時点では、
交換商品数は約1,000件にまで増やしている。

「エコポイント」の交換先が「(現金に近い)商品券」などと認識されてしまっては、
終わりである。ポイント=現金と見られると、ただの値引きの先送りでしかなくなる。
つまり、政府が税金で特定企業の家電製品の値引きを行っていると、ほぼ同義になって
くるのだ。そして、それはポイントサービスである必然性がないことを意味する。

また、「エコポイント」の担当者は、「ポイント」というものを単なるおまけだから、+αで付与されると消費者は喜ぶだろう、などといった甘い考えを持っているに違いない。しかしながら、その認識は甘い。消費者は、手に入れた「ポイント」を自分の資産として認識するのである。

では、自分の資産である「エコポイント」が使えもしない(または使いにくい)欠陥サービスだとしたら、消費者はどう思うか。不満に思うだろう。つまり、"+αでエコポイントを付与したにも関わらず、消費者の不満は増幅されてしまう"という本末転倒な事態を引き起こすのである。


使えないポイントサービスというのは、運営側にとっても悪夢でしかない。政府主体のためどうだか分からないが、通常はポイントサービス発行業者は、発行した分だけ引当金を積み立てる必要がある(厳密に言うと、現時点では発行金額全額分ではないが)。

消費者がポイントを使わない(使えない)ということは、毎年引当金が発行した分だけどんどん積み上げられていくことだ。一般企業なら、早晩にも引当金が会計を圧迫してしまいポイントサービスの運営が破綻してしまう。

では、「エコポイント」の場合は引当金はどうなるのだろうか。もし、必要なら政府なんだから財源は税金だよね。素晴らしい。破綻する恐れがまずないじゃないか。

いやーもう何て言うか、「エコポイント」は色々バカにしているよな。